〜番外4 永遠に侵されざるもの〜
より美しいモノ、より優れたモノ。
そんな物を得たいとする願望は誰にでもあると思う。私とて例外ではない。
そしてソレと同様、美しい異性を獲たいと思う感情。欲求。
そのような物も私にはある。ソレを否定することなど出来ない。
それはヒトとして、いや、生きるモノとして当然の事であろう。
そんな欲求が私を駆り立てるのだろうか。
もっと美しいモノを獲たい。
美しいヒトをもっと美しく魅せるモノ。
それは…、死に瀕した時。
死は絶対。死は何人たりとも逃れられぬモノ。
不治の病に侵され、その生命の灯火を消そうとしているモノ。
何者かの手により無情に殺されようとしている者。
死に彩られ、魅入られた、その表情、身体は、何物にもかえがたい。
それが美しければ美しいほど、その様はさらに美しく映るのだ。
それを私は永久に追い求める。
若く美しい、何者にも侵されていないその生命が散らされる瞬間。
それは、これまで精魂込めて作り上げてきた精巧なる創造物を壊す瞬間。
完成度が良ければ良いほど、壊す瞬間はたまらない。
一瞬にして、ただの塊…肉塊へと化してしまう。
それまでがどんなに美しい芸術品だったとしても。
芸術を無意味な物へと壊す瞬間が好きだ。
いかに高名なる芸術品であろうと、
ほんの些細な事でなんの意味もない物へと変貌する、その瞬間が好きだ。
そうして出来上がったモノもまた、芸術に価する美しさを秘めている。
しかしそれすらも、全てが失われる瞬間に比べれば大したことはない。
その私の心を満たしてくれる瞬間のためなら手段は厭わない。
その瞬間のために、私がそれを壊そう。
空を仰ぐ。
今宵の月は美しい弧を描いている。
真っ赤な弧。私の大鎌の様…。
今宵はどのように獲物を得ようか。
異形のモノを使い無慈悲なる圧倒的な力で以って肉塊へと帰そうか。
それとも、残りわずかな生命の灯火を我が鎌で消し去ろうか。
私は狩人。私の心を満たすため、獲物を狩る闇の住人。
〜番外4 永遠に侵されざるもの〜 終わり
2004/03/25