〜番外5 無音の街〜
石で囲まれた街。
無機質な単色で囲まれた街。
そこに人の気配はない。
生命の息吹を無くした街。
そこは街と言えるのだろうか?
人の営みの無い街は、人の営みのあった残骸でしかない。
カツーン…。カツーン…。
灰色のコンクリートで作られた廊下。
廊下に響くのは歩く足音のみ。
廊下を照らすのは、天井に付けられた無機質な蒼白い明かり。
窓も無いこの廊下は完全に外界から隔離されている。
生命の息吹すら隔絶した世界。
規則正しく明かりの点る、全く同じ造りが続く廊下。
無機質な灰色を照らす、無機質な白。
そこに暖かさは無い。ただ、冷たい世界。
灰色のコンクリートで作られた廊下。
廊下に響くのは歩く足音のみ。
一定間隔で窓が付けられている。その窓は、全てが同じ形をしている。
寸分違わぬ窓が規則正しく並び、全く同じ造りが続く廊下。
ここも廊下を照らすのは、天井から注がれる無機質な明かり。
この明かりは、窓から差し込む、生命を育む光すらも押しのけこの廊下を照らす。
薄ら寒い恐怖を覚える。
ヒトはいつから、暖かな恵みを排除してきてしまったのだろう。
寒い明かりを消す。
廊下にはようやく恵みの光が差し込む。
しかし、その光すら弱々しく、儚げだ。
そんな薄い光の中の廊下で、新たな恐怖を覚える。
暗い闇の中。その廊下が、どこまでも永遠に続くかのような錯覚に。
やがて、頭上を遮る物のなくなった場所に出る。
頭上に輝く光の主に一段と近づいたが、それでも彼のモノはまだまだ遠い。
しかし、そんな遥かなる高みから、彼のモノは全てのモノに等しく光を与える。
その光に照らされ視界に写るのは、
やはり全てが同じ形をし、規則正しく並んだ、コンクリートの無機質な塊。
眼下に林立するそれはまるで墓標のよう。
排除してきた生命の墓標なのか。
それとも、全てを排除しこの建物群を造った者達の、行き着く先を示唆しているのか。
生命の営みを感じられない街。それは残骸。
残骸はやがて、朽ち果て、忘れ去られていく。
どれだけ繁栄を極めようと、終焉は全てに訪れる。
〜番外5 無音の街〜 終わり
2004/04/24