アコたんハァハァ…(マテ
正しい転職の考え方
今日も数多くの露店が立ち並び、数多くの人が行き交うプロンテラ中央通り。
正に大都市の賑わいである。
「あれーー?」
そんな往来のなかで素っ頓狂な声を上げた剣士が一人。
「どうしたの、サバス?」
剣士の相棒であろう少年のアコライトが声をかける。
「いつもここで露店出してる商人の子がいなんんだよな。」
「あ、そういえば。でもそれくらい他の露店で済ませればいいでしょう?」
サバスと言う名の若い剣士はチッチッチと指を立てて首を振った。
「分かってないなタルフは。」
「は、何が?」
「あのリープルちゃんの笑顔を見て、赤ポを買い、そして狩りに行く。
これでこそ、今日一日がんばるぞ、って気分になれるんじゃないか。」
「…いつの間にあの子の名前チェックしてたの…?」
「行きつけの店の子の名前を覚えるのは必須技能だ。」
「知らないよ、そんなの。」
偉そうに踏ん反り返るサバスに冷たい突っ込みを入れるタルフ。
「とにかく、いないんじゃ仕方ないよ。他で買い物しちゃおうよ。」
「…そうだな。しかたない。今日は気乗りのしない狩になりそうだ。」
「…そこまで言う?」
と、そこへ。
「ちょっとごめんよ。」
ネコ車を引いた女ブラックスミスが2人の後ろにいた。
「そこ、空けてくれる?」
「あ、すいません。」
道を空けた2人の間を通り、壁際に座ったブラックスミスは、慣れた様子で露店の準備を始める。
「ん?何か用?」
いつまでもその場にいるサバスとタルフに彼女が声をかけた。
この声は、もしや…。
サバスには聞き覚えのある声だった。だが、姿は似ても似つかない。
「もしかして、リープル…ちゃん?」
「へ?ああ、あんた、よくウチで赤ポ買っていく剣士じゃない。」
サバスの予想は当たっていた。
「あ、転職されたんですか。おめでとうございます。」
「はは、ありがと。」
ようやくタルフがその結論に行き着く。
商人だったリープルはブラックスミスに転職していたのだ。
なにやら固まってしまったサバス。
「で、今日も買っていってくれるのかい?」
「あ、は、はい。それじゃ赤ポを100個…。」
なにも言えないサバスに代わってタルフが注文を言う。
「はい、毎度ー。」
暖かな日の光のさすプロンテラ西の街道。
街の近くで強いモンスターも出現しないこの辺は待ち合わせなどにも使われ、
そこにいる人々も、のんびりとした様子である。
そんな街道を歩きならがら、しかし2人は無言であった。
「……。」
「……。」
「やっぱり納得いかねーなー…。」
ようやくサバスが声を上げる。
「リープルさんの事?」
「そーだよ…。」
サバスの知っているリープルは元からあのような感じだったわけではない。
<以下サバスの回想>
やや幼さの残る感じの顔立ち。長めのスカートが良く似合う姿。
「あ、こんにちわー。」
「はい、赤ポですね、ありがとうございます。」
「そうだ、いつも買ってくれるんで、これオマケしておきますね。」
「はい、また来てくださいねー。」
(ここで天使のような微笑を拝める)
<回想終了>
それが今では胸元も露なミニのシャツ。ギリギリにまで短いカットパンツ。
幼さなんて何処にも見当たらない。
「うわぁーーん、俺の清楚なリープルちゃんを返せー!」
「君のじゃないでしょう…。」
「大体、なんで外見だけじゃなくて、性格まで変わっちまったんだ?」
「仕事柄変わっちゃったんじゃないの?BSと言えば鍛冶師でしょう?
格好にあわせて変わっちゃったんじゃないかな?」
「あう、あう…。」
涙目のサバスが過去を惜しむ。
「でもさ、鍛冶師って火を使うのに、あんな露出の高い格好で危なくないか…?」
「うーん…、そうだよね…。」
「…とにかく、商人からブラスミに転職するのはいいんだけど、
ああも変わるのは納得いかねぇよー!」
のどかな街道にサバスの叫び声が響いた…。
やがて2人は地下水道の入り口にやってきた。
プロンテラ騎士団から正式に調査の依頼がされている地下水道が今日の2人の狩場だ。
「まだ調査はあまり進んでいない感じだね。」
入り口近くには命からがら地下から脱出してくたのであろう、
傷ついた冒険者たちも見受けられる。
「そうだな。まあ、その分俺たちにもまだチャンスはあるってことだ。」
と、
「サンクチュアリ!」
傷ついた冒険者たちを優しく癒す奇蹟の光が辺りに溢れ出す。
サンクチュアリ。多くの人を一度に癒す事のできる上級の回復魔法だ。
「すごいなー…。」
同じ聖職者ではあるが、まだまだ半人前のタルフが感嘆の声を上げる。
先ほどのサンクチュアリを唱えたプリーストを見つけた。
そのプリーストは見知った顔だった。
「あ、蒼華さん。」
「あら、タルフ君に、サバス君じゃない。おひさしぶり。」
蒼華はタルフにとっては先輩に当たる人物で、
タルフとともに冒険をするサバスも何度か顔をあわせたことがあった。
「あ、蒼華さんも転職されたんですね、おめでとうございます。」
「えへへ、ありがと。」
「ほー、プリーストか。」
ふむふむ、と蒼華を眺めるサバス。
「こら、女の子をそんな風にマジマジと見ないの!」
「いやー、そのスリットが際どいなー、と思って。」
「わ、私だって好きでこんな格好してるわけじゃないのよ!?」
サバスの視線から守るように、スリットのおかげで見え隠れする太ももを隠す蒼華。
「うんうん、アコの頃の清楚な感じはプリになっても失われていない。
ああ、アコもいいけどプリもいいな。」
「…。」
「…。何かあったの?」
思わず蒼華はタルフに尋ねる。
タルフはさっきのブラックスミスとの事を話した。
「転職ねぇ…。」
一通りの話を聞いた蒼華が逆に切り出してきた。
「ちなみに、2人は転職まだなの?」
「ふふ、俺はまだ剣士でいるのさ。」
「要するにまだ先ってことなのね?」
「…そりゃ、俺だって早くナイトになりてぇよ。」
さらに上の職業に転職するのは強さの証明でもあり、また憧れでもある。
「僕はあと少しですよ。」
「何ー!!タルフ。いつの間に!?」
「君が休んでるときに僕は臨時パーティに入れてもらって修行してたんだよ。」
「あはは。ほら、サバス君ものんびりしてられないじゃない。」
「うー…。」
「そういえば、タルフ君はプリーストになるの?」
「はい。もっとたくさんの人の助けになりたいですから…。」
その時ふと、サバスはある事を思い出した。
それは以前遭遇した上級者パーティの事だ。
そのパーティにいた男プリーストは聖職者というには似つかわしくない言動であった。
胸元はそれこそブラックスミスのようにはだけて、ヤンキー座り。
大人しい感じのアコライトに比べるとやけに存大な態度であった。
BSになって変わってしまったリープル。
プリーストになったタルフはどうなってしまうのか…。
「ん?どうしたの?」
急に黙り込んだサバスにタルフが声をかけた。
「あ、ああ。いや、なんでもねぇよ。」
このタルフが、あんなふうに?それこそ信じられない。
が、一抹の不安をぬぐいきれないサバスであった。
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ラグナロクのSSです。転職すると外見もガラっとかわります。
私的に変わりすぎだろ、と思ったのがこの女BSと男プリです。
外見的に女商人も男アコも気に入っていただけにあの変わりようはちょっとショック。
そんなわけで今回のような話をかいてみました。
ちなみに、今回の話では出てきませんでしたが、女騎士は剣士の時のほうが好きです(笑)。
あと、女シーフよりはアサシンの方がいいです。
はい、どーでもいい話ですね。
なお、この話に出てくるキャラは架空のキャラです。といってもたくさんの人のいるラグナロク。
もしかしたら作中のキャラと同じ名前のキャラがいるかもしれません。
が、それはあくまで偶然です。実際のキャラとは関係ありませんのであしからず。
2003/03/22