トロトロと黄昏て…
ヨコハマ買い出し紀行

©芦奈野ひとし/講談社


ヨコハマ買い出し紀行は、アフタヌーンで連載中の漫画です。 主人公(?)のアルファさんを中心にまったりとした、 のんびりとした日常がとろとろと描かれている漫画です。
そんな日常だけを見ていると実にのんびりとした感じなんですが、世界観はのんびりしていないです。 と言うのも、この世界は今より未来の話。 海面上昇により、土地は減り、人口もかなり減少していると思われます。 日本と言う国もなくなっている様子で、今で言う県がそれぞれ国になっています。 たまに出てくる町並みを見ると終戦直後みたいな感じの町並みです。 道路のアスファルトもはがれ、それでも修理されない。
とまあ、こんな感じの世界なんです。「こんなんでまったりなのか?」 と言う意見もあるかも知れませんが、実にマッタリなんです。 たまに出てくる町並みなんか見ても、誰も、そんな危機感で焦っている人なんていません。 現在みたいに仕事に追われてせかせか動く人なんていません。 むしろ、こんな世界じゃなきゃ見つからない物、今の世界じゃ絶対に見つからない物、 そんな物を皆が持っている、感じている、そんな感じです。漠然とした話になっちゃいますが、 この、今にもどうにかなっちゃいそうな世界でも、人はたくましく生きているんです。
さて、主人公のアルファさんはロボットです。ずーっと年をとらずに、 今のままで生きていくんです。変わり行く世界で変わらない存在。 これはこのマンガの一つのテーマだと思います。登場する人物、特に子供達はどんどん大きくなっていきます。 そんな月日が流れても、変わらないアルファさん。彼女のセリフにこんな言葉があります。 「皆は同じ時代の船に乗っているけど、私はそれを岸からただ眺めているだけ。」 でも、アルファさんも変わっています。作中ではほとんど語られていないですが、 今住んでいるところに来たばかりの時、何も知らなかったアルファさんが、 今では一人で遠くの、別の国(今で言う別の県)に出掛けるようになっています。 もともとの、彼女の学習機能で新しい事を覚えていく機能はありますが、 登場人物の言を借りれば「そのスペックでは説明できないくらい」アルファさんは 新しい事をどんどん覚え、新しい事をやろうとしていっています。 結局、変わらないものなんて、ないんです。気づかないだけ。 あまりにゆっくりと変わるものだから、あくせく生きている私達では気づけないだけ。 そんなものでこの世界は満ちているんです。そんなことをこのマンガを読んでいると感じます。
あと、「終末」って感じがなんか好きです。正確には終末なんかじゃないんですけどね。 それに、別に荒廃しているって訳じゃないんですけど…。町が水没していて、水面から街灯が生えている、 そんな非日常な風景が広がっているこの世界が、好きでもあります。 もちろん、そんな町が水没してるなんて、十分、荒廃しているように思えるでしょうが、 さっきも言った通り、全然焦燥感はないです。 むしろ、幻想的というか…。この辺はもう、描き方がすばらしいからなんでしょうね。
コ難しいこと言ってますけど、このマンガはそんな事考えずに、 のんびり読んで欲しいマンガです、実際のところは。無心にこの世界にどっぷりとハマって欲しいです。 ちなみにこのマンガはDVDでアニメ化しております。 けっこういい感じなんで機会があれば、マンガ共々見て欲しいですね。

2002/02/10

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